珍しく雨
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明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
お世話になった方々への賀状を書きながら、ふと久しくご無沙汰をしていた三好洋子先生(元東京都立大学教授・イギリス中世史)のことが気になり、ネットで調べてみたところ、5年ほど前にご逝去なさっておられたことを知り、呆然としました。1922年のお生まれで、ご存命であれば100歳を超えるため、ご長寿ではいらした訳ですが、寂しさを感じずにはいられません。
先生とは、英国滞在時に同じアパートに住んだことがきっかけで知り合いました。もともと先生がお書きになった『イギリス中世村落の研究』は学部生時代に拝読したことがあったので、ご本人と異国の地で出会えたことに大変驚いたのを覚えています。
その後は孫のように可愛がって頂き、食事や週末のテニスをご一緒するなど家族のようなお付き合いをさせて頂きました。また、資料に囲まれたご研究の様子を間近で拝見するとともに、就職など不安を抱えていた時期に常に励まして下さいました。
先生は東京大学初の女子学生のお一人だったそうで、当時のお話(時代を考えても分かるように、私の苦労などは本当にちっぽけなものに過ぎず)や、先生の先輩にあたる方々が、かつてオックスフォードでどのような暮らしをなさっておられたかについても色々と伺いました。今から二十数年前のことでしたが、それより数十年前に日本からやってきた研究者が、現地でどのような生活を送っておられたかを知れたことは、非常に貴重な社会勉強の時間だったように思います。
帰国後も大岡山のご自宅にお邪魔をさせて頂いたり(書斎には圧倒されました)、拙宅にもお越し頂くなど、親しくさせて頂きましたが、施設に入られることを伺ってからは連絡が途絶えてしまい、ご友人にあたる先生から時折ご様子をお教え頂いておりました。
私自身もかつてお世話になった先生方の年齢に近づき、あるいはその年齢を既に越えている場合もある訳で、時の流れを感じますが、研究者の業績はいつまでも生き続けることを改めて思いました。
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エジプト学誕生200周年記念ということで開かれた、金沢大学エジプト学国際シンポジウムにてお話しをさせて頂きました。前回のシンポジウムからおよそ2年ぶりの訪問でしたが、今回は観光客の姿も多く見受けられ、金沢駅前はかなりの混雑でした。ホストの河合望さんや肥後時尚さんをはじめ同学の仲間とお会いできたのはもちろんのこと、西アジア考古学の小高さんやインダス考古学の上杉さんにも久々にお目に掛かれて嬉しかったです。
前日には、スペインのアルカラ大学教授アントニオ・モラレス博士の講演やワークショップも行われました。とても数日前に来日したとは思えないほどのパワフルさに、こちらは翌日のシンポジウム開始前からタジタジ・・・でしたが、普段日本ではなかなか聞けないようなかなり細かな点に至るまで、久々にエジプト学のシャワー?を存分に浴びたような気になりました。
翌日は、いつものことながら私は扱う時代が初期王朝とあって、またしてもトップバッターでしたが、「第1王朝のサッカラ墓地における祖先崇拝」というタイトルで発表しました。当初は英語原稿も作っていましたが、とても25分に収まりそうになかったため、パワポを見ながら説明をすることに。ただ、どうしても余計なことまで話してしまい、また話題を盛り込みすぎたために細かな土器型式などには踏み込むことができず、自身ではやや消化不良な内容になってしまったのが残念でした。準備をする中で新たに気づいたこともあり、収穫はあったものの、いつもながら学期中の発表はスケジュール的に大変なことを痛感した次第です。
帰りは最終のしらさぎでスムーズに名古屋へ戻るはずが、前の列車の影響で米原着が15分ほど遅れたため、すぐの「ひかり」には乗り継ぐことが叶わず、結局最終の「こだま」まで待つことに。名古屋止まりなので事なきを得ましたが、そこから先まで帰るはずだった人たちはどうなってしまうのだろう・・・とふと思いました。初日夜の懇親会で美味しいご飯は頂きましたが(翌日は自身の発表からスタートなので飲む気にもなれず・・・)、駅と大学の往復のみで金沢の秋を垣間見ることができなかったのはやや残念でした。
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早いもので7月も終わりですが、名古屋も天候不順な日々が続いており、今年の梅雨は中休みがあっただけで実は終わっていないのでは?と思う今日この頃。大学は春学期の授業がすべて終了しましたが、試験の採点はもちろんのこと、オープンキャンパスや各種会議、そして溜まった仕事などなど、秋学期までの1ヶ月半はあっという間に終わってしまうに違いありません。そして依然としてコロナの状況が芳しくない現状では、海外にもそう簡単に出れそうにありません。もっとも燃料代の高騰で、航空運賃自体、目をむくような値段になっていることも多いのですが。
さて今回は、勤務先の大学で行わせて頂くオンラインセミナーをご紹介させて頂きます。内容は添付のチラシにある通りですが、近頃のエンタメと化してしまっているエジプト関連番組のような面白おかしくではなく(先日やっていたものも、良くそんなことが言えるよな、と思うくらい・・・でしたが、無論、制作者側の意図もあるのでしょう)、そういったところではあまり紹介されていない古代エジプトの一面をお話しできればと考えています。宜しければ、是非ご覧下さい。
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本来であれば2年前に開催するはずだった札幌展がとうとう開幕。長かった・・・ですが、8会場目にしてようやくオランダから友人の博物館関係者が来日でき、ほとんどすべての遺物を展示することが叶いました。やはり延期となってしまっていた福岡展と同じく、開催にご尽力下さった関係各位の皆様方には感謝の言葉もありません。札幌もギャラリーのデザインが素晴らしく、見応えは十分。地下道に掲示した大広告貼付の招待券や割引券2000枚は、わずか一日ですべてなくなったとのこと。
オープニングでは、モエレ沼公園のピラミッドに掛けて古代エジプト美術の話をさせて頂きました。公園をゼミ旅行で訪れたのは6年前のこと。会場には同級生やゼミの後輩、そして、はるばる名古屋からも講座受講生の方々が来て下さってとても有難かったです。名古屋に比べると日中も5度は涼しく、快適でした。朝晩は冷えるくらい。
帰りの新千歳空港では大型スクリーンに展覧会の広告も映し出されてびっくり。会期はやや短かめですが、是非ご覧頂ければ幸いです。
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既に学会誌などでも掲載されていますのでもうご存じの方も多いように思いますが、今日は恩師の一人である森際眞知子先生(愛知みずほ大学教授)の命日です。未だに信じることができないというのが正直なところで、ご逝去から1年が経ちましたが、実感が沸きません。
先生には、大学へ入学してすぐにお会いしました。当時は信州大学の屋形禎亮先生(エジプト学)が非常勤でいらしていて、授業の前後に人類学博物館で毎週お話を伺うことからエジプト学の勉強をスタートしたのですが、そこにお見えになっていました。
その後、お宅にお邪魔して御本を貸して頂くところから始まり、イギリスの恩師に出会うきっかけをご主人の康友先生ともども作って下さり、現在の勤務先での非常勤をご紹介頂き・・・などなど、とても言葉では言い尽くせないほど、本当にお世話になりました。先生と出会っていなかったら、今の私はないと言っても過言ではありません。
ただし、ご体調が優れないことをそこまで深くは存じ上げず、お電話などでも変わらないお声を聞いていたため、訃報を知った際には本当に耳を疑いました。重ねてご冥福をお祈り申し上げるとともに、心より深く感謝御礼申し上げます。
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栄中日文化センターのエジプト講座今学期2回目。今回は古代エジプトのお守りについてご紹介しました。動物や植物といった自然を取り込む神々の世界にはやはり日本の神々に通じるものを感じます。今を去ること33年前!にイギリスの恩師が初来日した際、訪問を希望したのは伊勢神宮。キリスト教やイスラームといった一神教とは異なる神々の世界に興味津々だったことを思い出します。
福岡のエジプト展も、おかげさまをもちまして多くの方にお越し頂いています。展示設営でお邪魔した際には近くにとても立派な建物があり、何かと思ったら福岡paypayドームであることに気づきました。会場の福岡市博物館から最寄りの地下鉄駅へ向かう通り沿いには、西南学院大学や修猷館高校といった学校も建ち並び、付近の散策も楽しい場所です。
会期も残すところあと3週間ほどとなりましたが、会場も広くゆったりしていますので是非ご覧頂ければ幸いです。とりわけ、この福岡から初登場したイティの内棺は、内部の装飾も美しいので見応えがあります。魚のミイラも地味ですが可愛らしい容器に入っていますので、古代エジプトの職人による表現力の素晴らしさにもご注目下さい!
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昨年エジプト展をさせて頂いた静岡市美術館にて、スイスのプチ・パレ美術館展の「花ひらくフランス絵画」を鑑賞しました。19世紀末から20世紀初頭にかけての絵画様式の移り変わりがとても分かりやすく紹介されており、大いに勉強になりました。
中でもお目当ては、古代エジプトの絵画技法にも通じるキュビズムの絵で、長年見たいと思っていた作品をじっくり観察することができ、いろいろと気づいたこともあって大変有意義でした。館長先生はじめスタッフの方々とも楽しくお話をさせて頂きました。
帰りには、伊勢丹でひらかれているキルト・フェスティバルを訪問。エジプト展でお世話になったテレビ静岡の加藤さんにご案内を頂きました。実はアメリカの雑誌で表紙を飾ったこともある、古代エジプトを題材にしたキルトが出展されており、その細かさにはビックリ!一つ一つのモチーフは、これはあの墓、これはあの神殿のあの壁画、と分かるのですが、それらが非常に上手く組み合わされており、絵はがきなどがあったら間違いなく購入したいと思えるような完成度でした。ところどころにある、茶目っ気あふれる構図も見どころ。作者は愛知県ご出身の方だそうで、いつか是非お目に掛かってお話を伺いたいものです。
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お陰様をもちまして、神戸での展覧会が無事閉幕しました。他の会場と同じく、コロナ禍で入場制限を掛けながらの開催となりましたが、大変有難いことに10万人を優に超える入場者数に恵まれました。観客の皆さまはもちろんのこと、ご尽力を頂いた関係者の皆さまにも厚く御礼申し上げます。
以前にも書かせて頂きましたが、父方親戚筋の地元でもあり、小学生の時分に田能遺跡などへ連れて行ってもらっていた自分にとっては思い出深いところばかり。2月からは神戸市博物館で大英博物館のミイラ展も開かれており、神戸はエジプトのミイラ尽くし?となっておりましたが、そちらも大変興味深い内容満載ですので是非ご覧になることをお勧めいたします。我々の方は、いよいよ2年越しの福岡、そして札幌へと参ります。
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